1.メリットは専門分野の英語力と資格を得られること

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 MOOCを英語で受講することの一番のメリットはどこにあるのでしょうか。

 それは、

 ①授業のテーマとなる分野についての専門的な英語力を身に付けられること

 
②その英語力について修了証という形で一流大学のお墨付きを得て、それをキャリアアップのために資格としてアピールできること
 
 の2つです。

 当たり前のことのようですが、このメリットを意識せずに漠然とした英語力の向上のためにMOOCを受けてしまうと、本来は別の勉強をした方が効果的で、せっかく割いた時間や労力の成果が思わしくないということになりかねません。また、MOOCの授業は同じカテゴリーに属していても、その個別のテーマは千差万別です。上記のメリットを得られるかどうかという視点を持つことは、自分のキャリアに役に立つ授業かどうかを判断する上で欠かせない視点となります。



 さて、このメリットは、これまで資格であまりカバーされていなかった分野において、とりわけ大きな効果が期待できます。今までは証明が難しかった能力をアピールすることが出来る新しい手段となるからです。

 例えば、アメリカ法の分野が挙げられます。グローバル化が進んでおり、日本企業であっても外国企業と取引をしたり、外国において事業を展開したりすることが当然となっています。このような場合、契約書や遵守すべき法律や規則が英語で記載されることが一般的です。

 そうすると、法律英語の知識が必要となるのですが、これまで法律英語の能力を証明する資格はアメリカやイギリスのロースクールに留学し、弁護士資格を取得するほかありませんでした。しかし、この方法は時間的・金銭的な余裕がなければ実現できず、誰にでも努力次第で手に出来るというものではありません。

 MOOCでは、アメリカ法の授業について修了証を得ることで、時間的・金銭的労力をそれほどかけずに法律英語についてのある程度の知識を証明する資格を入手し、社内異動や転職活動においてその能力や意欲をアピールすることが出来るようになります。これが、MOOCの最大のメリットです。

 同じことは、MBA(経営学修士)で得られる知識や能力についても同じことが言えます。海外市場もターゲットにしたマーケティングに携わりたいという方であれば、マーケティングをテーマとした授業を受けて、専門用語を英語で理解していることがアピールできるようになります。これまでは、国内外のビジネススクール等に通わなければ得られなかった資格に代わる修了証を安価で取得することが出来ます。
 
 
 もしも、「映画を字幕なしで見られるようになりたい。」とか、「海外の作家の本を原著で読めるようになりたい」といった目的のために英語の勉強をされるのでしたら、実際に映画を見たり原著を読んだりする方が目標達成に近づけるはずです。

 他にも、英会話ができるようになりたい方は、英会話学校に行ったり、外国人の友人を作ったりした方が効果的だと思います。MOOCでは、Google Hangoutsで教授や他の受講生と会話をする機会もあるのですが、既に相当話せるレベルが求められるます。MOOC利用の過程で英会話力を上げるというのは難しいといえます。僕も英会話は苦手ですので、あまりGoogle Hangoutsには参加できていません。会話力は、別の方法で身に付けなくてはいけないと考えています。


 MOOCには、数百もの授業があります。上記のメリットを意識して、自分の人生に役立つ授業の修了証を手に入れましょう。


2.TOEICやTOEFLのスコアアップにも一定の効果はあるが、、、


 それでは、特定の分野ではなくビジネス英語一般の能力を計るTOEICのスコアアップにMOOCは全く役に立たないかというと、そんなことはありません。

 MOOCでは、毎週授業の動画を見てテストを受けるということを英語でやらなくてはなりませんので、相当期間英語に触れ続けることになります。この一定期間継続的に英語に触れるということ自体がTOEICのスコアアップに繋がります。

 僕も、MOOCを始めて2ヶ月ほど経った頃に、TOEICを受けました。MOOCへの対応でいっぱいいっぱいで、TOEIC対策はほとんど出来ずに試験に臨みましたので、期せずして純粋にMOOCの効果を計ることができました。結果として、スコア自体は825→845と少しアップしただけですが、特にリスニングにおいてそれまでよりも余裕を感じることが出来ました。しっかりTOEIC用に単語やリーディングまで対策をすれば、もっとスコアアップが望めると思います。

 しかし、TOEICのスコアアップが主たる目的であるというのであれば、TOEIC向けの勉強をした方が近道です。TOEICは、それ専用の対策をしないと点数が取れない試験ですので、英語力一般の向上だけでは対応できないところがあるからです。また、MOOCでは基本的にアカデミックなテーマの授業が多いため、ビジネス英語の試験であるTOEICとは、使われる単語にあまり重なりがないということも理由の1つです。オンラインで無料で英語を勉強できるリソースも、他に沢山あります。あくまでも、MOOCを続けていれば、ついでにスコアアップすることが出来るといった程度のメリットしかないと言えます。

 また、アカデミックな分野を対象とした英語の試験としてTOEFLがありますが、TOEFLの対策としてもオススメはできません。確かにTOEFLはアカデミックな英語の試験ですが、留学のために広範かつ多様な分野に対応する必要がありますので、広く(比較的)浅くといった勉強を効率的にしなくてはなりません。特定の分野を掘り下げていくMOOCを利用することは遠回りです。


3.英語力そのものを高めることをテーマとした授業もある 
 

 法律やマーケティングといったテーマではなく、純粋に英語力を上げるためにMOOCを利用したいという方には、英語そのものを勉強することをテーマとした授業があります。

 もっとも、漠然と英語学習をしようというものではなく、色々とユニークなテーマが設定されています。

 たとえば、先日の「MOOC|ビジネスパーソンのためのスキルアップ講座6選」でもご紹介しました「アジアでビジネスをするための英語力ーWriting」では、アジア圏の言語と混ざり合った独特なものとなった英語について、特に「書く」ことに焦点を当てて学習することがテーマとなっています。実際に、アジアで使われる実践的な英語を身に付け、プレゼン資料や文書作成のスキルアップをすることが出来ます。

 ご自身の目標や目的に沿った授業を探してみて下さい。


 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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