1.新卒にも高いスキルが求められるようになっている

 つい先日アップされた「プレジデントオンラインの記事」の中で、新卒者の就職活動に関する最新の事情が紹介されました。その内容は、これまでの地頭の良い学生のポテンシャルを評価すると言う企業の採用方針が、最近では、新卒者であっても即戦力となるスキルを求めるように変化しているというものでした。

 新卒者に求められる能力の1つ目は、グローバル人材であることです。2つ目は、高度の専門知識です。分野としては、IT、会計、法律、マーケティング等ビジネスに関連するものです。

 大学1・2年生の方が、このような採用方法の変化に今のうちから対応するのに、MOOCはとても役に立ちます。


2.MOOCはビジネススキルと英語力を証明できる新しい資格

 企業が即戦力となる新卒者の採用をしたいと考えたところで、その条件を満たすスーパーマンは一握りです。留学経験があり複数の言語が使いこなせ、在学中に法律や会計の資格を取り、その上プログラミングも出来る、というような学生の方は、そうそういないはずです。多くの学生の方は、企業の要望が高くなっても、それにどう対応したら良いのかよく分からないというのが実情だと思います。留学しようにも、金銭面や時間等のハードルにより、難しいという方も多いのではないでしょうか。

 MOOCは、ネット環境さえあれば、世界中の一流大学の授業を英語で、かつ基本無料で受講し合格すれば修了証を得られるというサービスです(⇨MOOCとは)。金銭的負担、時間的拘束、地理的ギャップをほとんど被ることなく、自分のキャリアに繋がる資格を得ることが出来ます。配信される授業の内容もプログラミングや法律、会計、マーケティングなどビジネスに関するものは一通り受講することが出来ますので、ビジネス知識の取得に繋がる授業を選ぶことが出来ます。

 また、授業の多くが英語で配信されているので、英語力を高めるという点でも、非常に役立ちます。グローバル人材として求められる能力には、異文化への理解やタフさ等色々な要素があると思いますが、英語力はその土台となる欠かせないスキルといえます。

 MOOCを受講することで、企業の求めるスキルを身に付け、それをアピールする手段が手に入るのです。
修了証は、大学名や担当教授のサイン等が入るしっかりとしたものです。

 もちろん就職活動において英語力を示すためには、TOEICのスコアをある程度取得しておくことは必要となっています。TOEICは日本人の英語力を図る統一的な基準として完全に定着しており、そのスコアが低い場合には、英語が苦手であると判断されてしまうからです。とりあえず、700〜800点ほどを取得しておきましょう。

 MOOCを受ければ、TOEICのスコアアップにも繋がりますので、その点からもオススメです。(このブログで先日書いた「MOOCを英語で学習することの本当のメリットは何か」では、MOOCはTOEICのスコアアップに最適な手段ではないと書いています。ただ、長い時間のリスニングに慣れる等の一定の副次的効果はあります。MOOCの修了証を取得し、TOEICの点数も上がるという一石二鳥が期待出来ます。)TOEICの点数にプラスαとして、専門分野についての英語力をアピールできるようにしておくと、就職活動において1つ武器を持つことが出来るようになります。


.MOOCの認知度が低い今こそ狙い目

 現状、MOOCの日本国内における知名度はとても低いといえます。僕自身、転職のために、MOOCの修了証を応募書類に添付して企業の面接に臨むことがあるのですが、MOOCを知っている面接官の方は1人もいませんでした。誰もが知っているような大手企業であっても同じです。

 企業サイドの認知度が高まらない限り、就職活動のアピールの手段としてMOOCは役に立たないのではないか思われるかも知れませんが、そうではありません。就職活動の中でする自己PRでは、ボランティア活動や海外経験など、他の学生とは違った経験やユニークさをアピールしようとするのに、資格のようなものになると、途端に人と同じでなければならなくなるということはないはずです。

 そもそも資格は、それを持っていればそれだけで一律に評価されるというものではなく、希望する仕事を得るために自分をアピールする過程の中で、自分の意欲や知識、一定の努力を示すための客観的な証拠の1つという位置付けなのだと思います。同じ資格であっても、それによって、その能力や知識をどう活かしたいかの伝え方は人それぞれです。ボランティア活動から社会問題に対する意識の高さや行動力をアピールするのと本質的には変わりません。

 実際、僕も、面接官の方にMOOCがどういうものかの説明をしなくてはならなかったのですが、理解していただけると、好意的な評価をしていただけるケースがほとんどでした。

 むしろ、認知度が高まった段階で、MOOCを就活に有効活用することの方が難しいはずです。認知度が高いということは、学生の中にMOOCを受講する方が非常に多くなっているということです。そうすると、自分以上にMOOCで能力をアピールできる人も多くなるので、相対的に自分の評価を上げにくいということになってしまう恐れがあります。

 同じようなことがTOEICを巡って起きています。就職活動において認知度の高いTOEICでは、満点近い高得点を取る人が沢山いますので、900点、800点を取っても、それほどアピールにはなりません。それどころか、一定の点数に満たないと英語が苦手であると判断されてしまいます。点数が低いとグローバル企業に入社しにくいという、いわば足切りのような基準となっており、頑張って高得点を取得しても、努力に見合ったメリットは得られないという状況にあるのです。TOEICで高得点を取ったことで就職において大きな恩恵を受けられたのは、まだ今ほど高得点者が多くなかった何年も前の話です。

 もっとも、幅広い分野でそれぞれ異なるテーマの授業が次々と配信されているMOOCでは、自分の意向に合わせてアラカルトで授業を選択することが出来るので、何を受講するのかは人により様々です。認知度が高まっても、TOEICのように一律の規格として、その価値が薄まりにくいとは言えます。



4.自分のやりたい仕事を選びやすくなるというメリットもある


 これまでのポテンシャル採用から即戦力を求める採用へと変化してしまうと、学生の内にスキルを身に付ける準備を始めなくてはならず、負担が大きくなってしまうというマイナスの側面があります。しかし、その反面、自分の希望のキャリアを選択できるようになるというメリットがあると思います。

 総合職のポテンシャル採用ですと、自分の希望を伝える機会はあってもそれはあくまでも参考程度のもので、配属は企業の適性判断に基づく受け身のものでした。しかし、企業の側が、採用段階ではっきりと特定のビジネスのスキルを求めるようになれば、職種別採用が増えてくることになります。例えば、マーケティングの仕事に就きたいのであれば、MOOCでマーケティングの修了証を取得しておくことで、採用試験の段階でマーケティング職での採用枠に的を絞ってエントリーするということも出来るようになります。

 大変ではありますが、主体的に自分のキャリアを作れるという意味では、望ましい傾向なのだと思います。今のうちから、自分の進む道を明確にし、そのためのキャリアを積み始めてみるというのも良いのではないでしょうか。

 ご参考までに、社会人向けですが、「ビジネススキルアップに役立つ授業をご紹介した記事」も書いています。こちらも読んでみて下さい。







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